2024/03/15
研究活動 プレスリリース

【プレスリリース】前立腺がんの篩状腺管構造と再発との関連 ~前立腺がんの悪性度分類の改訂の際に重要な知見を報告~

 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)人体病理学分野の長尾俊孝主任教授、泌尿器科学分野の下平憲治講師、大野芳正主任教授らの研究グループは、前立腺がん組織中の篩状腺管構造(シジョウセンカンコウゾウ)の占拠率と術後の生化学的再発との関連についてデジタル病理システムを用いて解析し、篩状腺管構造が術後の生化学的再発に強く関連していることを明らかにしました。この研究成果は、定期的に行われている国際泌尿器病理学会による前立腺癌の悪性度分類の改訂の際に重要なエビデンスとなると考えられます。この研究結果は、2024年3月13日に、国際医学誌Cancer Medicine誌 (IF 4.000)にオープンアクセス論文として掲載されました。

【本研究のポイント】

  • 前立腺がんの組織学的悪性度の指標にはグリーソン分類が用いられており、パターン1からパターン5までの5段階に分けられています。
  • 悪性度の高いパターン4には、①癒合腺管、②篩状腺管、③不明瞭な管腔形成、④糸球体様構造の4型がありますが、篩状腺管構造はもっとも予後不良と言われています。しかし、パターン4のみの前立腺がんで再発との関連を解析した研究はこれまでありませんでした。
  • 本研究では2018年までに東京医科大学病院で行われたロボット支援前立腺全摘術を受けた1870名のうち手術検体でグリーソンスコア4+4と診断された108名についてデジタル病理解析で篩状腺管構造の占める割合と生化学的再発との関連を解析しました。
  • 篩状腺管構造を認める患者では、認めない患者に対して高い生化学的再発率を示しました。
  • 手術検体における前立腺がん面積(中央値)は427.7mm2、篩状腺管構造の面積(中央値)は8.85mm2であり、篩状腺管構造の占める割合は2.24%(中央値)であり、多変量解析では篩状腺管構造の占める割合はパターン4前立腺がんにおける独立した予後因子であることが判明しました。


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